2024年8月3日、『どうなる?どうする!介護保険 講演&リレートーク』(山梨県民主医療機関連合会主催)が開催されました。
高齢化が進む中、いくつになっても、病気や障がいを抱えても住み慣れた地域で安心して生活するためには、介護事業所の存在が不可欠です。
しかし、2024年度の介護報酬改定において訪問介護基本料が引き下げられたことに対する影響について、山梨民医連が行った緊急アンケートでは、山梨県内174ヶ所の訪問介護事業所のうち5割を超える事業所から回答があり、そのうちの8割を超える事業所が介護報酬改定の影響で経営危機を訴える結果となりました。
介護報酬改定の影響については、山梨日日新聞でも紹介されています。
山梨日日新聞2024年7月31日3面
※この新聞記事は山梨日日新聞社様の許可を得て掲載しております。無断転載等を固く禁じます。
(1枚目:山梨日日新聞 2024年7月31日掲載 紙面頁003 / 2枚目:山梨日日新聞 2024年7月19日掲載 紙面頁001)
「どうなる?どうする!介護保険」 介護保険についてみんなで学び、考えよう!!
当日は、現地参加者が86名、オンラインでのアクセス数は119か所でした。
社会学者で介護問題にも精通しておられる、東京大学名誉教授 上野千鶴子氏を講師にお招きし、介護保険制度の歴史や課題について、分かりやすく教えていただきました。
講演の中では、「介護保険は生まれてからずっと国からの虐待を受けている」と、辛辣ながらも、介護保険制度の現状を的確に捉えた分かりやすい表現で、「介護保険の今」について語られました。
また、「どうなる?どうする!ではなくて、あなたがどうしたいのか?それを声に出していくことが大切だ」という、介護に携わる私たちに向けた熱いメッセージもあり、介護保険制度の必要性を再確認すると同時に、介護保険制度を守り、改善していくことの大切さを実感しました。
参加者からの感想を一部紹介します。
介護の現場の「今」を知る、リレートーク
上野先生の講演の後は、訪問介護事業所をはじめ、様々な現場の方々から、介護の現場で起きていることについてご発言をいただく、リレートークを行いました。
訪問介護事業所から
「今回の改定には憤りを感じています。訪問介護の専門性を軽視しているこの改悪を許すわけにはいかない。」
「少ない職員体制で今まで何とか頑張ってきた。このような状況が続けば、訪問介護の担い手が本当にいなくなってしまう。」と現場の厳しい状況についてご発言をいただきました。
居宅介護支援事業所から
「介護保険制度の複雑さが利用抑制につながっている。」
「過疎地域では訪問介護の移動時間に30分~40分以上かかっている。この報酬改定で訪問介護事業者が閉鎖してしまう。この改悪は許すことができない。」と介護保険そのものに対することや、サービス提供の地域格差についてご発言をいただきました。
その他にも…
介護ロボットやICT導入の生産性向上に対しての矛盾点について、介護施設でのサービス提供の視点からご発言がありました。
また、介護福祉士養成校の先生からは、「次世代の介護を担う者たちの夢をつぶしてしまう改定」と胸が苦しくなるような発言もいただきました。
上野氏は最後に、「自分たちの職業の社会的威信と報酬を高めることは本人たちが要求しないと決して勝ち取ることはできない。介護は実際におもしろい仕事。魅力や楽しみだけではなく、誇りをもって働き続ける仕事にして欲しい。夢も語ってほしい。こんな介護保険なら欲しいという事を市民の方から提案していく。こんな欠陥だらけの介護保険制度でさえ、守れと言わなければいけない状態を一歩でも二歩でも脱したいと心より思っている。」と締めくくられました。
よりよい介護・福祉のために…
介護報酬・障害福祉サービス等報酬は3年に1度、医療報酬は2年に1度の改定があり、各サービスの単位数(料金)や加算などが変更されます。
そして今年は、介護・障害福祉・医療報酬のトリプル改訂の年。
定期的に改定される内容が、利用者さん・患者さんの生活と、福祉・医療の現場で働く職員の処遇をより良くするようなものとなることを願い、日々の介護・看護活動に取り組むとともに、このような要請行動をはじめとする様々な活動にも積極的に参加してまいります。
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